当チャンネルでは大学ラグビーを中心にコンテンツを作成してきた。
その中で最近の大学ラグビーはやや戦力が偏っており、面白くないという意見のコメントが多く見られる。
ということで今回はそんなご意見に対してオーモリはそれについてどう思うかというのをお話ししていきたい。
最初に結論を申し上げると、
できるに越したことはないけど、多分無理
となる。
どうしてそう思ったのかというのを含めて見ていってもらえればと思う。
大前提、当コンテンツは大学ラグビーを含めた日本のラグビー界を否定するものではないということはご理解ください。

オーモリです。YouTube・X(旧Twitter)もやってます。
結論の理由
ではなぜ先のような結論にオーモリは至ったのか。
それは
戦力が均衡していた方がリーグ自体は盛り上がるとは思うけど、大学側は選手の入学を拒む理由はないため。
となる。
近年の大学ラグビー


まず直近10年の大学選手権上位校を見てみると、優勝は帝京が最多で7回、早稲田、明治、天理が1回ずつ。


またベスト4まで視野を広げると、直近10年でベスト4に入ったチームは帝京、明治、早稲田、筑波、天理、京産、東海、大東、同志社の10校。


直近5年でいうと帝京、明治、早稲田、筑波、天理、京産の6校。
その上でベスト4への進出回数は帝京が5、明治、早稲田、京産が4、天理が2、筑波が1。
ちなみにその前の年のベスト4は天理、早稲田、明治、帝京となっている。
こう見ると近年は帝京、明治、早稲田、京産、天理しか複数回ベスト4に残っていない。
また、花園で活躍した選手や高校時代に注目されていた選手達は基本的に帝京、明治、少々早稲田へ進学し、あとはその他の大学へ散っていくといった感じだろうか。
これらを踏まえると、近年は優秀な選手を獲得したチームが上位を独占し、大学によって優劣がわかりやすくなっている。
様々な大学に優勝のチャンスがあった方が見応えがあり、面白いと感じる人にとっては今の大学ラグビーは少々エンタメ性に欠ける部分があるだろうか。
おそらく今後はより格差が広がる
そしておそらく、この戦力が偏っていると見られる構造は今後も続く、むしろ格差は広がっていくとオーモリは考える。
なぜなら大学側としては生徒の入学を拒む理由はないし誰もそこにテコ入れはできないと思われるから。
大学側からすると、経営のためにも、少子化のこの時代において新入学生は喉から手が出るほどほしい。
故に素行が悪いことが明らかであり、大学のイメージを著しく毀損するような例外な生徒を除き、大学へ入りたいとする生徒を拒む理由はまずない。
その上で大学ラグビーはあくまでアマチュアスポーツのカテゴリーに属す。
つまり、日本ラグビー協会的には大学ラグビーの収益に対する期待値はさほど高くない。
その証拠に帝京大学が優勝した今シーズンまでチケットは数千円単位での発売となっており、1枚のチケットで2試合を見るとこができるという日程が組まれている。
また、今期の選手権決勝は使用料金が必要な国立競技場ではなく、秩父宮ラグビー場で行われており、大学ラグビーにかけるコストも抑え気味な傾向を今季は見せた。
まだなんとも言えない部分はあるが、今季にコスト削減を実行したということは来年以降も費用のバンプは進むと見ていいのではないだろうか。
これらを踏まえて、大学優勝を経験したい!強い大学でプレーしてみたい!と思う生徒は選手権上位校を好み入学してくる。
生徒が増えれば強豪校は勝利に向けた投資をすることができると、正のスパイラルに入れるし、逆も然り。
ですので大学ラグビーにおける格差は広がっていくだろうとオーモリは現時点では考えている。
戦力が均衡していた方がもちろん面白い
一方で様々な大学に優勝の可能性があった方がリーグとして見応えがあるのは事実だろう。
北米スポーツの内MLBを除くNFL、NHL、NBAではサラリーキャップをMLBではぜいたく税をそれぞれ導入し、戦力均衡を計り、よりエンターテイメント性を重視した措置が施されている。
またイングランドのプロリーグであるプレミアプロでもサラリーキャップが導入されている。
近年、そのリーグの強豪クラブであるサラセンズがサラリーキャップ違反、ペイロールの総額の上限額に違反したということで降格などの処分が課されたのは記憶に新しい。
多分テコ入れは無理
ただ、繰り返しになるが、大学ラグビーはあくまでもアマチュアスポーツ。
チームに在籍する選手達はお金をもらってプレーしているプロではない。
じゃあ、大学が獲得する選手に制限を設ければいいのでは、と一瞬思ったりもするがもちろんそれは無理。
なぜなら、選手達は第一に大学生として大学にお金を納めており、所属大学の経営のために必要な大事な収入源であるから。
その生徒達の人数を制限することはいち法人にすぎないラグビー協会には無理。
大学の経営に干渉するなんてできるわけがない。
大学にとって部活動における全国大会で上位に入ることは経営における名前を売るための手段にすぎない。
もしラグビーがダメなら他のスポーツで上位に入ればいい。
6大野球や箱根駅伝で上位に入る大学はラグビー界ではあまり上位に食い込むことがないような大学も見受けられる。
この域を超えない限り、ラグビーだけに関わらず、戦力均衡は夢物語であり、格差は広がり続けるだろう。
駅伝は青学、ラグビーは帝京、のような構図を崩すのは難しいだろう。
これは余談だが、オーモリも大学1年生はラグビー部に所属していたが、1年生のシーズン終了と同時に退部。
その後、大学には在籍し続け、学費を大学に納め、微力ながら所属大学の経営に役立ったはず。
部活動の域では限界
じゃあこの状況でどうすれば戦力均衡ができるのか、これってトリビアになりませんか?ということで現状考えられる案があるとするならば、まず大学の部活動ラグビーリーグを撤廃。
その上で各リーグワンクラブのアカデミーを創設し、そこにユース世代の選手達を入団させ、リーグワンのユース世代版のチャンピョンシップを実施する、これになるだろうか。
プラスαで以下4つのルールを設ける。
・このアカデミーに最低4年は在籍しないとリーグワンの公式戦には出場できない
(JAPANへ選出されれば公式戦に出場可)。
・日本代表にはリーグワンのクラブもしくはそのアカデミーに所属した選手じゃないと入れない。
・大学卒業後にアカデミーに所属した選手は最低4年を経過しないとJAPANには選出されない。
・アカデミーにはサラリーキャップを導入
※4年の部分に関してはオーモリの勝手な創造
ほんっっっっっっとうにざっくりした案にはなるがユース世代で戦力が均衡したリーグを観戦できるのではないだろうか。
大学ラグビーのブランドが現状日本ラグビーにおいては最強
ただ、厄介なことに現状日本のラグビーにおいて最も人気がありブランド価値があるのは紛れもなく大学ラグビー。
これを言い換えるのであれば、日本においては花園、リーグワンの優勝より、大学選手権優勝の方が注目されるということ。
ヘタをするとW杯の優勝に匹敵するほどの注目度がある可能性すらあるのではないかとオーモリは見ている。
もっというと選手権の決勝よりも早稲田、明治、この2校が大学ラグビーの人気の本質だとオーモリは考える。
実測値ではなく体感値になるが、大学ラグビー全体の利益の8割ほどは早稲田、明治が絡む試合におけるものだと思われる。
これは実体験だが今期の大学選手権において、早稲田、明治がトーナメントに残っている時と、どちらか、もしくは両校が大会を去った後を比べると明らかに動画の再生回数が前者の方が伸びる。
つまり大学ラグビーは早稲田、明治によって人気を得ているということ。
これらを踏まえ、高校生の立場になって考えた際に、一番身近な存在である日本のラグビー界でトップの注目度を誇る大学ラグビーという環境に身を置きたくないと思う選手がいるだろうか、いや、いない。
これが高校からリーグワンへ挑戦する選手が現状数えるほどしかいない理由の1つと思うなどした。
仮にオーモリが先に挙げたアカデミーリーグを創設したとして今まで早稲田、明治を応援してきたサポーターの皆様が全員新リーグを見てくれるとは限らない。
現状最もホットスポットである早明戦を排するというそこまでの大きなリスクを日本ラグビー協会が取るとも思えない。
結び
ですので、改めて
戦力は均衡していた方が面白いけど、テコ入れは多分無理。格差は広がり続ける。
と今回結論づけた。
とは言え、今後大学ラグビーの格差が広がり続けた先にいい未来はないのではないかと思われる。
そうなった際に日本ラグビーがどのようにイノベートしていくのかは楽しみではある。
U23や長崎南山の本山選手など、細かい挑戦は実施されていると見て取れる。
今後、日本のラグビー界において、広がる格差を見続けることになるのか、大きなイノベーションが起こるのか、どちらにしても私はとても楽しみです。
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