第61回大学選手権は1/13決勝戦が行われ、帝京大学が早稲田大学を下し4年連続13回目の優勝を決め幕を閉じた。
そんな今季の大学ラグビーにおいて、最も注目を集めた選手といえば早稲田大学1年生FH、服部亮太選手だろう。
何を隠そう、オーモリが今季最も印象に残った選手がこの服部選手。
今回はそんな服部選手をピックアップ。
結局、服部選手はどこがすごかったのか、今季すごかった点3つを完全にオーモリ1人の目線でお話しさせていただきたい。
オーモリのように服部選手の虜になってしまった方にはもちろん、まだなっていない方にも楽しんでいただけるように全力で服部選手の魅力をお伝えしていきたい。
先に結論を申し上げると、服部選手のすごいところ3つが下記。
- 規格外のビッグキック
- パス
- ラン

オーモリです。YouTube・X(旧Twitter)もやってます。
経歴
ではまず、簡単に服部選手の経歴についてほぼ知らない方はいらっしゃらないとは思いますが振り返っていきたい。
ラグビーとの出会い+小中学校時代
北九州市出身の服部選手はお兄様の影響で地元の帆柱RSでラグビーを始める。
これが服部選手と楕円級の出会い。
このスクールで高校でハーフ団を組んだ井上選手とも出会う。
中学時代はそのまま同スクールで競技を継続。
佐賀工業高校時代
高校からは親元を離れ先に挙げた井上選手と一緒に佐賀県の佐賀工業高校へ入学。
高校入学当時の身長は163cmほどだったが高校在籍中に15cmほど身長が伸びたとのこと。
これにより現状服部選手の身長は公式で178cmとなり、オーモリと同じ。
この高校時代から全国へ服部選手の名が知れ渡る。
高校では毎年花園へ出場。
1年生から試合へ出場し続け2年生から10番を背負う。
1,2年生時に花園ベスト8。
そして3年生時に服部選手擁する佐賀工業は近年で最も注目の高いチームとなる。
この年の佐賀工業は春の選抜ではベスト8、花園ではベスト4、九州大会で準優勝、10月の国体でも準優勝、夏にはセブンスで佐賀県勢初の全国優勝を成し遂げる等、非常に強力なチームに仕上がっていた。
また、この年の花園ではチームとして21年ぶりとなるAシードを獲得している。
服部選手はその中核を担っており、セブンスの大会では大会MVPを受賞。
また、花園での東福岡戦のDGには非凡さを感じざるを得なかった。
花園後には高校JAPANへ選出されイタリア遠征に参加。
副将を務め、主にFBとしてプレーしチームの勝利にも貢献した。
ちなみにこの時の高校JAPANのFHは明治の同じ1年生、桐蔭学園出身の萩井選手で遠征先ではルーミーであり、非常に親密な仲であることも知られる。
早稲田大学へ進学
そして昨春、関東対抗戦の早稲田大学へ進学。
ちなみに、小学生からの幼馴染で12年同じジャージで戦い続けてきた井上選手は同じ対抗戦の筑波大学へ進学している。
早稲田へ入学してからの服部選手は皆様ご承知の通り。
今季は公式戦ベースで対抗戦、選手権で合計10試合664分出場。
対抗戦の初戦こそ22番での出場となったが以降は全試合で10番を背負った。
先日発表されたU23のメンバーにも名を連ねている。
U-23について詳しく書いた記事、動画は下記。


現状憧れの選手はリッチー・モウンガ選手。
ちなみにリッチー・モウンガ選手の身長もオーモリと同じ178cm。
オーモリ的に今季最も服部選手の印象に残った試合は対抗戦の帝京大学戦。
この試合で改めて大学でも服部選手のプレーは十分に通用すると思わされた、と同時に今季の大学ラグビーの中心選手となる決め手となったのではないだろうか。
ここがすごいぞ、服部選手!
そんな服部選手は何がそんなにすごいとオーモリは考えているのか、それが改めて下記の3つ。
- 規格外のビッグキック
- パス
- ラン
規格外のビッグキック
まず服部選手の代名詞となるビッグキック。
これは非常にわかりやすく、単純。
選手権の準決勝で服部選手のキックの音を生で聞いた時、オーモリは衝撃を受けた。
試合の解説において後藤翔太さんも仰っていたが、現状国内で服部選手ほどキックの飛距離が出るキッカーは存在しない。
対抗できるとしたら現花園Lの雲山選手だろうか。
テリトリーキックで言うと60〜65m級が優秀なキッカーと言われる中で、服部選手は70〜80mほどの距離が出る。
一般のキッカーと服部選手を比べた時に平均値で言うとその飛距離には12.5mほど差がある。
仮にキックオフで蹴り込んだボールをテリトリーキックで蹴り返されそこからトライを取りにいくと仮定すると、一般的なキッカーであれば60〜65mボールを運べばいいのに対し、服部選手と対戦した場合70〜80mボールを運ばなければならない。
平均値で言うと12.5mほどゴールが遠くなる。
これが試合中に2度3度と発生するとその距離は25m、32.5mと増えていく。
逆に言うと服部選手のキックがあればそれだけトライラインが近くなると言える。
ビッグキックというのはボールを前方へ運びたいラグビーというスポーツにおいて攻守共に大きな存在となる。
パス
次にパス。
具体的にはショートパス、ロングパスを同じ姿勢から投じることができることと、パスそのものの精度。
これは服部選手自身も自分の強みとして仰っていた部分。
出力が必要なロングパスを放る際には予備動作が比例して大きくなるのが一般的。
ディフェンス側はそれを見てリアクションを起こす。
しかし服部選手はその予備動作がロング、ショートパスで同じ。
これによって多数のオプションを残したままでアタックを展開できる。
ディフェンス側からするとリアクションを起こすためのタスクが増え、リアクションが遅れる。
結果、ディフェンスで劣勢に立たされる。
また、服部選手のロングパスは山なりではなく矢のような軌道を描く。
これによってカバーディフェンスが間に合わず優勢に立てる。
ラン
そして最後がラン。
このランもハイレベル。
具体的にはラインブレイクチャンスを見逃さない視野の広さと相手を抜き去る能力。
目の前にスペースもしくはミスマッチができると服部選手はそれを見逃さない。
また闇雲にランの選択をすることは稀で、ほぼ確実にLBできる時にランを仕掛けていく。
間違った判断をしないだけの視野の広さがある。
そしてLBした後もそのままタックルされると言う場面はほとんどない。
基本的にサポートプレイヤーへボールを繋ぐか自らトライを取り切ることで自らは死に体とならない。
これができるプレイヤーはほとんどいない。
自らトライを取り切る際には切れ味抜群のステップで相手を抜き去る能力を持ち合わせており、ディフェンス側からするとLBで勢いのついた服部選手を止めるのはなかなかにタフな仕事となる。
対抗戦の帝京戦ではこれら3つの強みが全て出た試合に思える。
その試合の感想動画は下記。
気になる方は見返してみていただきたい。
これらがオーモリが現状思う服部選手のすごいところ3選。
服部選手が憧れるモウンガ選手と強みはほぼ重なっている点も見逃せない。
今後の課題
と、ここまで服部選手のすごいところを3点紹介してきたが逆に今の課題はないのか。
オーモリ的には一応あるっちゃあると言う感じ、と言うか、ここが未知数といったところ。
それが下記3点。
- スタミナ
- ハイプレッシャー下でのプレー精度
- ディフェンス
スタミナ
まずスタミナ面。
服部選手は今季初めて80分のゲームタイムを経験。
シーズン中に大田尾監督も服部選手のスタミナ面についてまだ完璧に耐性はできていない旨の発言をしており、対抗戦、選手権では全試合出場はしたもののフル出場は4試合。
とはいえ、10試合中8試合で70分以上出場はしている。
ハイプレッシャー下でのプレー精度
次にハイプレッシャー下でのプレー精度。
先に挙げた対抗戦での帝京戦以降、厳しくマークされることになった服部選手。
特に選手権決勝での帝京戦では激しいプレッシャーに見舞われ、なかなか自分の思った通りのプレーはできなかっただろうか。
ただここは良い選手が受けるある種、宿命、逆に良い選手だからこそ徹底マークを受ける。
高校から1つ上のカテゴリーである大学でそこをどう突破していくのかむしろ今後が非常に楽しみ。
ここは今後学年を重ねるごとに改善されていくところになるだろう。
ディフェンス
そして最後にディフェンス。
別にディフェンスが足を引っ張っているとは思って良いない。
ただ、どうしても大学の上級生と比べるとウェイト面で劣ってしまう部分はあるかもしれない。
なのでここは今後の活動で強化していくところになるだろう。
と言うのが現状オーモリが思う課題。というか未知数な部分。
それでもあまりあるポテンシャル
ただそれでもあまりあるポテンシャルを有していることは間違いない。
むしろここからまだまだ伸び代があると言う意味では将来が非常に楽しみな選手。
世界のプレイヤーになれる!
ここから何かを間違えることがなければおそらく服部選手はJAPANの10番を背負える逸材。
だからこそ、服部選手はあと3年も大学レベルでプレーするべきではないと思ってしまう自分がいる。
ベストな形はJAPANの10番として世界の強豪国と対戦しているところが見られること。
そして最悪、世界の強者達と対戦できているところを見られればオーモリ的には満足。
ですので大前提、服部選手が今後どのようなキャリアを築きたいのかと言う意志を最大限リスペクトした上で、海外のチームでも良いので早くトップカテゴリーのレベルに身を置ける環境を整えてほしい。
言葉を選ばずに言うと、これまで国内で飼い殺しにされていた選手達のようにはなってほしくない。
これまでも国内でそのポテンシャルの虜となってきた選手達をオーモリは多数見てきては世界の舞台での活躍を夢見ていた。
しかし、どうしてもここも言葉を選ばずに言うと大学レベルというぬるま湯に4年間使っていたことで、世界の強豪国の若手選手と比べ、トップカテゴリーデビューが遅くなり、結局花開くことがなかった選手を何人も見てきた。
静岡の本山選手のように新たなイノベーションが起こり出している昨今の日本ラグビーにおいて国内の若手選手に対しどのようなアプローチが今後行われていくのか注目。
そしてオーモリ的には服部選手はその筆頭選手である。
憧れの選手と語るリッチー・モウンガ選手、ポジションは違うが現在世界のラグビーにおいて最も支配的な選手であるアントワーヌ・ドゥポン選手のようなプレイヤーになるだけのポテンシャルがあるとオーモリは見ている。
今後、服部選手がどのようなキャリアを選択していくのか注目。
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